日本の介護とはどんな仕事?

介護の仕事と聞くと、病院での看護師の仕事を思い浮かべる人もいるかもしれません。ところが日本は超高齢社会に直面しており、看護師とは異なった、介護職員という仕事が重要な職業になっています。日本で介護職員として働いた経験のある外国人の方々からのアンケートやインタビューをもとに、介護とはどんな仕事なのかを紹介します。

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介護の仕事とは?

介護とは、主に高齢者など身体上または精神上の障害があることによって日常生活を営むのに支障がある人に、より自立した生活をおこなえるよう手助けをすることです。例えば、高齢者や障害者など日常生活を自分ひとりでおこなうことが困難な人に対して、食事や排せつ、入浴などの生活に関する様々な動作を、それぞれの症状の度合いや環境などに応じて介助します。仕事をする場所は、介護施設、通所施設、利用者の居宅などになります。

介護職員の主な仕事内容は以下の通りです。
・食事の介護、入浴の介護、排せつの介護、移動の介護、移乗の介護
・居宅清掃や調理などの家事の介護
・福祉用具の管理
・医師や看護師など関連職種や家族等との連携
・外出やレクリエーションの企画や実施

 

日本の介護の仕事

日本では就職や結婚を機に親と離れて暮らす子供が多く、両親は高齢になると1人や2人だけで生活する傾向があります。そこで、もしも身体上または精神上の障害を持ってしまうとサポートなしでは日常生活を送ることが困難になり、介護のサービスを受ける必要が出てきます。そのため、超高齢化社会に直面している日本では介護に関する制度や施設がしっかり整っていいます。

日本で介護職員として働いた経験のあるフィリピンのMr.Albert Fernandezさんは、「フィリピンでも高齢者用施設はありますが、介護施設とは呼ばれません。日本と同じような介護施設もないと思います。単に高齢者が住める場所だけです。」と教えてくれました。少子高齢化や核家族化が急激に進んでいる日本は、介護サービスの先進国でもあります。今後アジアの国々でも高齢化が始まると予想されていますので、介護先進国の日本のノウハウを勉強するにはよい機会かもしれません。

 

介護のやりがい

介護の仕事では高齢者やそのご家族とコミュニケーションを取ることが多く、普段からいろいろな話をします。介護のやりがいを感じるのは、そういったコミュニケーションの中で「ありがとう」と感謝の言葉をもらった時が多いようです。

インドネシアのMs.Riswantiさんに話を聞くと「やりがいを感じるのは、介護施設の利用者の話を理解し、希望に沿って介護できる時です。介護した後の利用者の笑顔が見られた際に、特にやりがいを感じます。利用者の家族の方ともよくコミュニケーションをとります。私の故郷であるインドネシアの事や、頭にジルバッブ(イスラム教の女性が頭や耳を隠すスカーフのこと)をかぶっている理由などを話して信頼関係を築きます。」と教えてくれました。

 

どんな人が介護職員に向いている?

話好きな人や人の気持ちが分かる人は介護の仕事に向いているようです。また、介護の仕事ではある程度「力」も必要となります。ただし最近では、身体に関する勉強をしたり、機械を活用することで力不足を補っているようです。日本で介護の仕事をした経験のあるnon-Japaneseの方々から、介護に向いている人の特徴を聞いてみました。

・「利用者との信頼関係を築くためコミュニケーションが必要なので、お話が好きな人は介護職員に向いています。また、優しくて、明るくて、人の気持ちを理解できる人はとても介護職員に向いているでしょう。」

・「介護の仕事を楽しくできる人は楽観的性格 、真面目な人、勤勉な人、気さくな人、力の強い人です。」

・「介護の仕事は力が必要な場面もありますが、身体の使い方を覚えれば楽にできます。また、動きをサポートができる機械があるので、そういった機械の操作を覚えることができれば、必ずしも強い力は必要ありません。」

 

介護職員としてのキャリア

介護職員として働く場合、将来のキャリアはどのような選択肢があるのでしょうか。日本で介護の経験を積み組織のリーダーを目指す人もいれば、介護福祉士などの国家資格の取得を目指している人も多くいます。

また、日本語能力試験N1を取得して、日本のみならず自国でも活躍したいと考えている人も多いようです。

「家族の事情で帰国したけれども、日本で学んだ介護のことや日本語を、自国で教えていきたい」(ベトナムのMs. HOANG THI NGOC ANHさん)と新たなキャリアを築こうとしている方もいらっしゃいます。

日本では高齢化に伴い、介護をおこなう人材が不足しているため、様々な取り組みを通して介護人材を増やそうとしています。その中で、海外の方々にも安心して日本に来て介護の仕事ができるよう準備を進めています。[1]日本で、介護の仕事に少しでも興味を持ってもらえればうれしいです。

[1] 厚生労働省「福祉・介護人材の確保に向けた 取組について」Ministry of Health, Labour and Welfare “Efforts to Secure Personnel in Nursing Care”

 

 

 

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